epilogue④ ヒマラヤ糸紡ぎの物語
私とヒマラヤ山岳遊牧民と糸紡ぎの物語の始まり。
雲のような羊毛の綿から糸がすうーっと伸び光に輝く一筋の糸の様に伸びていく。
ダイアモンドダストに輝く青い空と白いヒマラヤの山並みの輝きに、動物たちや鳥の声が響いていた。
ヒマラヤの山の日々に恋に落ちた。
予定を変更してそのまま一冬をこの谷で過ごした。
たくさんの村の人達に出会い糸紡ぎや棒編みを教えてもらった。
ここには質素で美しい暮らしが残っていた。
すべてがシンプルで太陽の様に笑う彼らは幸せそうだった。
2014年 始まりの冬。
その時はBellaTerraというブランドを持つことになるなんて思ってもいなかった。
この時、糸紡ぎや編み物を教えてくれた人達とは今も一緒に糸を紡いで編んでいる。
一番初めに“タッカリー”を譲ってくれた2021年に青年は宙に還ってしまった。
彼と最後に会った時私が糸紡ぎを続けているのを喜んでくれていた。
彼の叔母や従妹は今も一緒に羊毛の作業をしている。
2015年冬が終わり春になる頃。自分で紡いだ糸を編んで作った帽子や靴下が出来上がっていた。
Visaの関係でインドを出るときがきた。
一冬を超えた山を降りるとき
『素朴で美しく幸せにあふれてるこの場所が
いついつまで地球の恵みと共にありますように。』
と、心から願ったことを今も覚えている。
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